6.梅毒検査−FTA-abs−
FTA-absについて解説します。
FTA-abs検査(梅毒トレポネーマ蛍光抗体吸収検査:Fluorescent Treponemal Antibody-absorption Test)は、 非病原性トレポネーマとの交差反応による偽陽性反応を防止する意味で、非病原性トレポネーマで患者血清を事前に吸収処理して検査することから 、偽陽性反応の出現率が低いのが特徴です。
測定原理
FTA-abs検査は、スライドグラスに梅毒病原体であるトレポネーマ・パリーダムの菌体成分を吸着させ、 TP抗体を間接蛍光抗体法で検出する検査法です。
検査方法
機械を使用せずに用手法(手での検査)で検査を実施します。
事前に非病原性トレポネーマで吸収処理した血清を、トレポネーマ・パリーダムを吸着処理したスライドグラスの上に滴下し、 乾燥しないようにして37度で一定時間反応させた後、血清成分を洗い流し、クライドグラスに蛍光抗体をのせ再び37度で反応後、 蛍光色素を洗い流した後に、蛍光顕微鏡で観察します。
判定
1.陽性
血清中のTP抗体+梅毒トレポネーマの菌体成分+蛍光抗体色素=梅毒トレポネーマが蛍光を発する。
2.陰性
血清中にTP抗体が存在しないことから、蛍光抗体色素が梅毒トレポネーマに吸着しないことから梅毒トレポネーマは蛍光を発しない。
検査上の注意点
TPを利用するFAT-abs検査は、感染後3〜4週後にTPHA検査より早く陽性となりことから、STS陽性、TPHA陰性の場合の梅毒鑑別に利用されます。
FTA-abs検査もTPHA検査同様、一旦陽性となると治療して梅毒が完治しても、一生涯陽性反応が続くことから、治療の判定には適さない検査法です。
TPHAを受ける時期
不安な行為より3週間後に受ければ信頼できる結果は得られます。
FTA-absと梅毒治癒の判定
一度梅毒トレポネーマに感染してFTA-absが陽性となると、抗生物質で治療して完治しても、陽性反応はまず一生涯消えることがありません。
そのためFTA-absのみを使用して、陽性と判定されても、梅毒は治癒しているにもかかわらず、再度治療するという誤った認識をしている 医師も見られます。
従って梅毒治療の目安にはTPHAと同様にFAT-absは使用できません、STS検査を使用します。
6.梅毒検査−FTA-abs−
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